症例
下記の症例は、実際の症例ではなく、実際の症例を参考にして、私自身が多少脚色したものである。最初からこちらで何もしなくても、血糖、HbA1C（NGSP値）など、コントロール状態が非常によかった症例から、どんなにお薬の量や種類を増やしても、本人の体重がどんどん増加してくるばかりで、血糖値やHbA1C値が増加して、コントロールが不良な状態が続く症例まであった。下記は血糖やHbA1Cのコントロールがよい症例から非常に悪い症例まで順に並べてある。1.
40歳、男性、身長171cm、体重67KG、BMI22.9、理想体重64.3Kg、初診時より1種類のお薬の投与のみで、血糖、HbA1C値など、コントロール状態が非常によく、体重の自己管理も完璧で、こちらは一切お任せして大丈夫だというケースであった。ちなみにこの患者さんのHbA1C値は、6.2%程度である。2.
70歳、男性、身長166cm、体重71Kg、BMI25.8、理想体重64.3Kg、受診時に、前述のコントロール状態がしばらくよい状態で落ち着いているときと、お正月やお盆等に、一時的に食事の摂取量が増え、HbA1C値が6.5%程度だったのが、7.1%に増加するものの、本人がその結果を受診時に見て反省し、次回の受診時より徐々に血糖が減少し、コントロール状態が急速に改善し、もとのHbA1C値にもどるという症例である。本人の意志の強い性格が血糖の良好なコントロールに役立つというよい例である。
3.
77歳、女性、身長152cm、体重34Kg、BMI14.7、理想体重50.8Kg、初診時より薬は、他院にて多剤併用で治療されていた。追加する薬はない状態で、持続型インスリンの補充療法を始めた。もともとやせ方の方で、インスリンの感受性が非常によく、6単位の皮下注と非常に少ない量で治療を開始したが、自己血糖測定を参考にすると、低血糖気味の日もあったため、インスリンの単位を2単位ずつ減らさざるを得なかった。2単位のインスリンの皮下注の時点で、HbA1C値6.5%とコントロール良好になったが、夕食時に著明な低血糖が認められたため、インスリンを中止せざるを得なかった。中止後、今度はHbA1C値が7.1%と急に増加し、今度は、インスリンを2単位皮下注に戻し、夕食前にスナックを摂って頂き、再び、HbA1C値6.5%の結果が得られ、この状態がしばらく続いている。
4.
34歳、男性、身長172cm、体重92Kg、BMI31.1、理想体重65.1Kg、本人も納得し、防風通聖散でコントロール。最初は野菜中心の食事が作れず、外食中心で、体重が横ばいの状態が4か月続いた。正しいダイエット食の作り方を指導、本人も粘り強い性格で通院も継続、食生活も徐々に改められ、体重が横ばいのときもあるものの、ほぼ1か月に1Kgのペースで減少するようになった。理想体重にあと少しのところまできている。
糖尿病も、HbA1Cが5.9%と非常にコントロールがいい状態が続いている。
5.
73歳、男性、身長163cm、体重76Kg、BMI28.6、理想体重58.5Kg、他院からの紹介時は、HbA1C値10.0%と非常にコントロール状態が悪かったが、メトホルミン塩酸塩中心に処方を切り換え、急速に血糖、HbA1C値など、糖尿病のコントロール状態が改善してきたが、食事療法が充分守れず、体重もすこしずつ増加し、HbA1C値は、8.0%とまだまだ不充分な状態で、今後、本人に食事療法、運動療法の重要性をよく説明し、HbA1C値6.4%の良好なコントロールを目指す方針である。6.
37歳、女性、身長168cm、体重85Kg、BMI30.1、理想体重62.1Kg、初診時より、食事療法の理解が得られず、本人は摂取量は大して多くないというものの、食事の摂取量が多すぎることが予測された。どうしても、血糖値が高く、HbA1C値も10.4%程度と高値のコントロール不良の状態が続き、お薬の種類を増やさざるを得なかった。
そうすると、しばらくはHbA1C値も徐々に減少に向かうが、尿中にブドウ糖が出る量も減少することが主な原因と考えられるが、以前より食事の摂取量を減らすよう指導するも、以前と同じ食事の量を撮り続けてしまうため、再度、血糖、HbA1Cがほとんど元のレベルまで増加してしまい、体重だけがどんどん増えてしまうという結果になった。
しかし、糖尿病のコントロール状態が悪いため、お薬の種類を増やさざるを得ず、同じ繰り返しで、さらに体重が増えて糖尿病のコントロールが悪いままになってしまった。
糖尿病の教育入院を勧めるも、本人が拒否するため、それもできず、課題として残った症例であった。
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